ジョブサポートだより
1 授業のようす ❗
「社会生活」の時間には、「作業能力」や「作業態度」などについて学習しています。年間を通して意欲と集中力を持って働ける力(持続力)や、安全に、敏速に、確実に作業を行うことができる力(作業遂行能力)の大切さなどについて意見を出し合いながら学んでいます。
また、現場実習に向けて、個人目標や課題について、それぞれ確認しています。
🔶改めて「アサーションとは?」❣ 《カオナビ「人事用語集」より》
コミュニケーションにおいては、大まかに表現すると伝える力と聞く力の2種類がポイントとなります。伝える力にこだわれば、主張が強すぎる人間に映るでしょう。かといって、聞き手に 回ってばかりでは伝えるべきことが伝えられず、チャンスを逃しやすいです。アサーションは、自分も相手も大事にして、主張はしっかり行うものの、相手は傷つけない、絶妙なコミュニケーション方法です。重要なことは、相手の気持ちをしっかり考えながら、自分の気持ちや考えや信念をいかにその場にふさわしい方法で表現するかです。自己主張のパターンは、主に3つに分かれ、それぞれを知ることでより理想的なアサーションに近づきます。主張のパターンは、分かりやすくアニメや漫画でお馴染みのドラえもんのキャラクターに例えました。
1 アグレッシブ(攻撃タイプ)
特徴は、①思ったことをズバズバ言ったり大声を張り上げたりと主張が強い、②自分の意志を全うするためであれば、明確な悪意が伴うこともある、③勝ち負けで物事を決める、④精神的に幼い などです。割合的には結構多く、組織においては少々厄介でしょう。
ドラえもんでいうところの、ジャイアン。体が大きな大将肌の少年で、主張が強く、いつも大声で怒鳴り散らしています。ケンカっ早く、勝ち負けにこだわるところはまさに攻撃型といえるでしょう。ただ、友情に厚く妹に優しいという人情家の面や親に頭が上がらないという一面も持っています。悪ガキながら憎めないキャラクターです。
2 ノン・アサーティブ(非主張タイプ)
ノン・アサーティブの特徴は、①自己主張が控えめ、もしくは苦手、②物静かな性格といった印象、③曖昧な言い方でかわすことを好む、④言い訳が口癖になっている などです。アグレッシブと真逆の位置付けともいえるでしょう。アグレッシブのような面倒くささはほとんどないものの、組織の一端としては、やや扱いづらい印象を与えます。
ドラえもんでいうところの、のび太。物語の中心的な位置付けにある少年です。まさにノン・アサーティブの代表のような性格をしており、控えめかつ息を吐くように言い訳を繰り返します。しかし、そんな彼だからこそいつも助けてくれるドラえもんの存在が際立つのでしょう。またマイナス面に反し、人の痛みを理解できる優しい少年で、自然を大事にするといった温かい側面も持ち合わせています。
3 アサーティブ(攻撃的タイプと非主張タイプの黄金比)
アサーティブの特徴は、①自分の気持ちを率直に伝えつつ、なおかつ相手の気持ちも考えられる、②場の空気まで重んじる、③適宜表現をチョイスできる、④アサーティブ型を人に薦められる などで理想的なタイプともいえます。言うならばアグレッシブとノン・アサーティブの中間。つまり、アサーションを扱いこなせるタイプでバランス型と表現できます。
ドラえもんでいうところの、しずかちゃん。可愛らしく人気者、さらにしっかりしていて勉強もできるなど、ステータスまでもバランスが取れているのび太あこがれの少女です。主張するところは主張し、引くところは引ける、だからこその人気でもあるのです。
アサーションを身につけるには、まず自分のタイプを知ることが大切です。・・・
2 あれこれ記者ノート ❗
自分のタイプをチェックしよう(続き)
★ 例題:ある日、電車の切符を買うため列に並んでいると、突如知らない人が列に割り込んできました。その時、以下のどのような対応をしますか?
① 何も言わない。心の中でムッとするものの、声には出さない
② 怒りをしっかり表現。不正に対して怒鳴り、列から離れさせようとする
③ 不正を指摘しつつも、冷静かつ人道的に諭して後ろに並ぶよう頼む
さて、
①「何も言わない」を選んだ人
何も言わない人は、ノン・アサーティブです。怒りという感情は込み上げているものの、主張は行わず内に秘めているからです。仮に主張したとしても、曖昧で遠回しな表現をしがちでしょう。とかく空気を読む日本人においては、このタイプが多いかもしれません。しかし、事態の解決は難しいでしょう。
②「怒りをしっかり表現」を選んだ人
はっきり主張をする人は、アグレッシブです。文字通り攻撃を行い、不正をした相手に勝利しようとします。話が早いため、事態の解決を考えるなら、ある意味効率的でしょう。しかし、相手の気持ちを無視しているとも言い換えられます。もしかすると、割り込んだ人にも何らかの真っ当な意見があったのかもしれません。一概に正解ともいえないでしょう。
③「後ろに並ぶように頼む」を選んだ人
不正を指摘し、意見を主張しつつも気持ちを高ぶらせることなく冷静に対処できる人は、アサーティブでまさにバランス型といえます。主張しつつ頼むというやり方で一歩引いてるため、意思を伝えつつも相手の尊厳を損ないません。怒りよりも、歩み寄りの精神が大きいといえるでしょう。
このようにアサーティブは、まさにコミュニケーションの理想形です。アサーティブを身につけるにはどのようなトレーニングをすればよいのでしょう。
基本となるのは、自己主張の段取りです。相手主体ではなく、自己を主体とした表現から入ります。自分を基準とした例を見せてからコミュニケーションが始められるため、円滑なやり取りが目指せます。
さらにレベルアップを図るなら、以下のアサーショントレーニングを実践してみてください。
ア You(あなた)ではなく、I(私)から始めるコミュニケーション
「あなた」を主語にすると相手を責める口調になりやすいですが、主語を「私」に変えると、自分の主張を相手を傷つけられずに伝えられるのです。
You(あなた):「(あなたは)いつもどうしてそう報告が・・・」
I(私):「(私は)あなたの報告書が早いと助かる・・・」
攻撃的なコミュニケーションパターンの人は、I(私)から始めてみるとよいでしょう。
イ 気持ちを伝えることで主張しやすくなる
感情や今の気持ちを伝える表現を加えることで、正直な意志が伝えやすくなるでしょう。例えば、「〜していただけると助かります」、「〜に困っています」などです。非主張的なコミュケーションパターンで主張が苦手な人は、これによって伝えやすくなります。
ウ お願いの表現を使うことで、意見の対立を防ぐ
「〜すべきだ」「〜しなさい」と断定、支配、命令的な主張ではなく、「〜して欲しい」「〜してください」というお願いの表現を使えば、互いの意見が違っても話し合いの余地が生まれるのです。
エ 否定的な言葉ではなく、肯定的な言葉にする
「〜できない」という否定的な言葉は相手が受け入れにくいものです。しかし、日常の場面でも、職場でも否定的な言葉を言わなければならないことはあります。否定したくないから曖昧にして言葉を濁すのは問題外です。
「明日の納期は厳しいのですが、明後日の早朝でしたら何とかなりますがどうでしょうか」というように否定で終わらせず、前向きな善処策を一緒に提案することで、相手は受け入れやすくなるのです。
⭐️ 訓練生の皆さんは、退所後の進路希望などについて話し合いを進めています。